日本における墓石の変遷は、仏教をはじめとする宗教の伝来と政治制作に密接な関わりを持っている。
その始まりは平安時代にさかのぼる。
仏教の伝来に伴い、建築様式・施工技術などが流入するが、その中に墓石という概念と石工の技術がもたらされたと考えられ、供養塔や墓石としての五輪塔、宝篋印塔、宝塔、多宝塔などが貴族階級の間で出現している。
その後、鎌倉時代~室町時代にかけて、禅宗の到来とともに位牌と戒名が伝わり、その影響からか、位牌型の板碑や今日の墓石に近い角柱型のものもつくられるようになる。
江戸時代になると、キリスト教を排斥しようという目的で導入された寺請制度(檀家制度)が確立し、人々に先祖に対する供養や葬儀などの仏事が生活の中に定着する。それに伴い、庶民も墓石を建立することが広まった。
明治中期になると、家制度が確立する。
それまで個人や夫婦を単位とするものであった墓石が、家単位で建立されることになった。その為、墓石は故人の戒名(法名)を彫っていたものから、「○○家先祖代々之墓」などのような形に変わっていった。
日本における墓石の種類は、20世紀初頭までは、手作業での加工が容易な安山岩が中心であったが、加工機械による切削、加工、研磨などが発達した現在では、御影石と通称される花崗岩が主流となっている。
花崗岩の特徴は、非常に硬質で雨風に強く、表面を磨けば鏡面のように輝き、荒せば自然石の風合いが増すところにある。
特に墓石用で使用される花崗岩には堅牢さとともに美しさが要求されるので
、石目模様が安定し、庇がなく、気孔が少ないものが 求められる。
また、関東以北では、黒御影が多く使われ、関西以西では、青御影、白御影が多く使われている。これはかつての石の産地と関連しており東日本では黒御影が多く産出され、西日本では青御影、白御影が多く産出されることによる。
ただし現在日本で墓石として使われている石材の半分以上は輸入で、まかなわれている。
ちなみに、西洋では大理石がよく使われるが、日本ではほとんど使われない。それは、日本の気候と西洋の気候に差があるからである。大理石は水成岩であり水に弱いため、日本のように雨が多い土地柄では、すぐに風化してしまう。
墓石の形は、それぞれの地域の歴史に育まれ、独自の特徴を形成している。現在の特徴的なスタイルとされる墓石の形には、歴史が古い関西の名称を冠した名前のものが多い。以下にその代表的なものをまとめた
洋型墓石の形式は、「オルガン型」「ストレート型」「プレート型」等に分けられる。
ストレート型とオルガン型はそれぞれ竿石と台石によって構成され、台石が一つのものは一段型、二つのものは二段型と呼ばれる。
ストレート型は竿石を垂直に加工したものであり、オルガン型は斜めに加工したもの、プレート型は海外の墓地で見られるような芝生墓地にプレートを敷くタイプを指す。
洋型墓石は省スペースで建墓できるということが特長のひとつであり、費用に関しても、外柵工事や土盛りを必要としない場合が多く、和型に比べ低価格で建てることができる。
洋型墓石は、和型墓石に比べ、形状に宗教的な意味合いが薄く、彫刻する文字にしても家名ではなく好きな言葉を彫るなど、家族の思いや個性を大切にしたものとなっている。
五輪搭 | 足長五輪搭 | 宝篋印搭 | 無縫搭 | 多宝搭 | 十三重搭 | 累宝搭 |
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蓮華台付霊標 | 笠付霊標 | 霊標ゲタ型 | 霊標ハメコミ型 | 霊標ブック型 |
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経机 | 額縁加工 | 宝珠柱 | 防風付灯明立 | 舟型地蔵碑 |
地蔵碑 | 鳥居型塔婆立 | 石製塔婆立 | ステンレス塔婆立 | 雪見燈籠 |
置灯篭 | 丸角墓前燈籠 | 角搭 | 物置台 | 物置台 |
物置石(扉付) | 納骨棺 | 拝石 (ビシャン仕上) |
蓮華加工上下 | |